弊社CEO金光国が1話1分「縦型ショートドラマ」製作の知られざる舞台裏について週刊現代に掲載!
日本語2024.11.255 min read

弊社CEO金光国が1話1分「縦型ショートドラマ」製作の知られざる舞台裏について週刊現代に掲載!

クオリティよりも「コスパ」重視…1話1分「縦型ショートドラマ」製作の知られざる舞台裏

「ショートドラマ」が大人気に

スマートフォンのスクリーン比に合わせた縦型で、1話1分~3分の超短尺で物語が進んでいくドラマ、通称「ショートドラマ」が、若者の間で急速に人気を集めている。

そもそもショートドラマは中国で生まれた。2022年に中国政府が発表したショートドラマ振興政策「関于推動短劇創作繁栄発展的意見」などの影響を受け、コンテンツが急増。中国国内で一躍人気コンテンツの一つとなった。今年に入ってもその成長はとどまるところを知らない。

中国に拠点を置く、モバイルゲームやショートドラマなどデジタルコンテンツを中心とした市場調査会社DataEyeが2024年7月に発表した報告書によれば、中国市場は2024年いっぱいで日本円にして約1兆円、26年には約2兆円規模にまで成長することが見込まれているそうだ。

また日本テレビやテレビ東京など日本のテレビ局もショートドラマの製作に乗り出しているほか、米国やカナダなど英語圏でも普及が進む。先のDataEyeの報告書によれば、中国を除く世界市場も成長が著しい。2026年には50億ドル(約7700億円)を超える可能性があるという。

ドラマや映画など従来の映像コンテンツとは全く異なる建付けのショートドラマが、なぜここまでウケているのか。中国発のショートドラマコンテンツの日本ローカライズや、オリジナル作品の製作などを手掛ける株式会社和雅CEOの金光国(52)氏は、スマートフォンに特化したコンテンツであることがショートドラマ人気の一つの要因だと指摘する。

「スマートフォンを一人一台保有するのが当たり前の時代になりました。映画館やテレビと異なり、いつでも好きなようにコンテンツに触れられる。空いた時間にすぐ手に取れる。スマートフォンに最適化したコンテンツだからこそ、ショートドラマは広く視聴されている。需要は伸び続けており、今はコンテンツが圧倒的に足りていない状況です」(以下、発言は金氏)

同じようにスマートフォンで広く見られているのが、TikTok動画やYouTubeのショート動画だ。こちらも短尺かつ縦型で、スマートフォンに最適化されたコンテンツと言えそうだ。かわいらしい犬猫の姿や、日常の風景を収めた動画が数百万回再生されていることもある。縦型ショート動画とショートドラマを分けるものとは何なのか。

「TikTokやYouTubeショートなどの成功により、縦型で短い尺の動画が市場に受け入れられることはわかりました。そこに少しだけ物語の要素を足し、いかに短い時間で感情をあおり、次の動画に進ませるか工夫を凝らしたものがショートドラマと言えるかもしれませんね」


食べ物で言えば「牛丼」

あくまで人を引き付けることに特化したコンテンツであるため、ショートドラマは従来の映画やドラマとは製作方法も大きく異なるという。

「社会の発展により、人々は気が短くなっている。ショートドラマの視聴者も早い展開のコンテンツを求めています。ですから、物語はシンプルでなくてはいけません。出演者の顔をアップで映し、数秒で喜怒哀楽が理解できるようにするなど演出もわかりやすくする。フックや伏線を多用し、感情をあおり少しでも動画からの離脱を防ぐ。こういった点を意識して、コンテンツを製作することが求められます」

そもそも、ショートドラマの視聴者が求めているものは、クオリティの高い映像作品ではない。ショートドラマの制作やローカライズに関わる中で、金氏はそう感じていると言う。

「芸術性が高い――見ていてそう感じるショートドラマは多々あります。しかし、そういった作品が必ずしも視聴回数が多いわけではありません。むしろビジネスとしてうまくいっていないケースの方が多い。視聴者がショートドラマに求めているものは、食事で言えば『ファストフード』のようなものだと感じています」

日本を代表するファストフードと言えば牛丼だ。元祖牛丼チェーン・吉野屋の売り文句は「うまい、安い、早い」である。ショートドラマに置き換えれば「おもしろい、短い、早い」になるのだろうか。金氏によれば、ショートドラマはビジネスモデルもファストフード的なのだそうだ。

「ショートドラマビジネスでは、職人的なこだわりはあまり求められません。できるだけコストを削減し、製作工程、課金システム、広告、プラットフォーム運営などを効率的かつシステム化する。売れるものはクオリティにあまり関係なく売れますから、いかにシェアを拡大して広く売っていくかが重要です」


作品づくりにおいて、“芸術性”や“こだわり”といった数値化しづらい要素があまり介入しない分、製作コストを抑えられ、短いスパンで大量に作品を制作できる。そのため、ビジネスとして成立させやすい点もまたショート動画の魅力だというのが、金氏の見立てである。

「ショートドラマの1シーズン(約80話)の製作にかかる時間は1週間。だいだい2,3か月で配信できるようになります。予算も多くて2000万円ほど。安くたくさん作れるので事業展開がしやすい。また、実はショートドラマ1作品当たりに視聴者が支払う金額は決して安くはありません。

中国だと1作品は、1話1分で80話ほどが一般的です。課金して全話視聴するとだいたい6000円になる。チケット1枚に2000円くらいかかることを考えると、映画の約3倍に当たる金額です。そうした背景もあり、現在アプリユーザー数1位である中国のショートドラマアプリ『ShortMax』は、事業開始から1年ほどで黒字化を達成しています」

拡大し続ける日本市場

ほかにも魅力はあるという。金氏がさらに続ける。

「ショートドラマは短期間で製作できるので、作品にトレンドを反映させやすい。また、エンタメ作品で扱いにくい文化や社会的なテーマを無理に作品に落とし込む必要もないので、ローカライズもしやすい。たとえば、最大手のShortMaxは15か国の言葉に対応しています。おそらくほとんどすべての言語圏をカバーできるはずです」

世界的にはコンテンツ産業の市場規模は拡大傾向にある。日本経済団体連合会が2023年4月に発表した資料によれば、世界のコンテンツ市場は2020年時点で約1.1兆ドル(約149兆円)、2025年には約1.3兆ドル(約183兆円)に成長することが見込まれている。

しかし、こと日本においては、先行きはあまり明るくない。世界市場が拡大するにつれて、日本市場が占める割合は減少傾向にある。2013年には中国に抜かれ市場規模は世界第3位に転落した。また、調査機関PwCが2023年に公表した2021年から2025年までのコンテンツ市場の予測平均成長率では、調査対象となった53カ国中最低の数値となる3%を記録した。

ほかにも、たとえば映画やアニメ業界を巡って「製作費が安すぎる」「労働環境が劣悪」など暗い話題を目にすることも少なくない。

だが、ことショートドラマにおいては、日本が世界市場においてプレゼンスを発揮する余地があるかもしれない。

「実はショートドラマは現時点で、日本市場が海外シェアの10%ほどを占めています。これは、英語圏に次ぐ数字です。ここ1年で日本のショートドラマ市場は急拡大を続けている。ユーザー課金率も高いですから、今後も成長の余地があるはず。個人的には世界シェアの2割から3割を占めるポテンシャルがあると思っています」

実際に、日本企業も製作に加わった作品が世界で人気を博すケースも誕生している。現在縦型動画アプリShortMaxで配信中の作品『大富豪のバツイチ孫娘』(中国作品のリメイク)がそうだ。テレビ朝日とShortMaxが共同で製作。金氏もプロデューサーの一人として製作陣に名を連ねている。

同作は10月1日に配信が開始され、10月14日から20日の週では人気ランキングで世界1位を獲得した。

人気作
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「日本はIP(価値を生み出すアイデアや創作物のこと)大国です。漫画やアニメ、小説をはじめ、世界的に人気を集めている作品が多々あります。まだ、実写化などしていない埋もれたIPもあるでしょう。それらを発掘し、ショートドラマ化して、世界に届けることも考えています」

まだまだ、発展途上にあるショートドラマ市場。日本発の作品が世界を席巻する日もそう遠くないのかもしれない。

(取材・文/小林空)