ショートドラマってファストフードに似ている
日本語2025.12.245 min read

ショートドラマってファストフードに似ている

 TikTokやYouTube Shortsなどで急速に存在感を増している「ショートドラマ」。2024年には日本市場だけで100億円規模になると予想されている。前年から4倍という驚異的な成長を見せるこの市場で、業界プレーヤーたちが掲げる次の目標は「1000万人の課金ユーザー獲得」だ。LINEヤフーが2025年7月に開催した「Short Drama Summit JAPAN」では、市場をけん引する6社の代表が一堂に会し、ヒット作の法則から収益化の課題、そして世界市場への展開戦略まで、業界の最前線で起きている現実を語った。

金光国

2023年に中国ショートドラマのローカライズを開始し、2024年から日本・韓国でショートドラマを制作している和雅の代表取締役社長。ShortMax、Dramabox、ReelShortと提携し、日本制作のショートドラマを世界同時配信している。ヒット作に「大富豪のバツイチ孫娘」「リベンジ清掃員CEO咲」など。

──“月間課金ユーザー1000万人”がどうすれば実現できるか、グローバルから観た日本という視点と、日本のフロントランナーの皆さんとともに熱いディスカッションをしていきたいと思います。制作、マネタイズ、マーケティングの3つに分解してお話ししたいのですが、まずは制作について、ヒット作品の傾向や制作する際に意識していることから教えてください。

澤村直道 日本の特徴的なところで言うと、不倫ものや復讐系、BUMPでヒットした作品なら「プロ彼女の条件」といった“身近に存在するが自分が触れたことのない世界”など、普段見られない人の姿をのぞき見しているような感覚になるコンテンツが人気だなと思います。世界共通で当たっていると感じるフォーマットは、“ビリオネアの正体隠し(※)”。うちも一度、タワマンを題材にした正体隠しドラマを作ったのですが、普段は20~30代のユーザーが多い中、40~50代が増えたり課金率が上がったりする傾向がありました。

※編集部注:正体を隠して一般社会に溶け込んだ御曹司や社長が登場する物語。ジャンルはオフィスものやラブストーリーなど多岐にわたる

于深 僕としては、日本国内で正体隠しをやって、中華作品に雰囲気を寄せようとするのはけっこう違和感があります。中国で流行っている成り上がり系の作品が本当に日本でヒットするか、僕はまだ疑問を持っていますね。

金光国 我々から見れば、ショートドラマってファストフードに似ているんですよね。なぜかというと、これらは人間の最小限の要求を満たすものだから。展開やセリフのテンポを速めて、気持ちを盛り上げることで人間の最小限の欲求を満たすことさえできれば、どこの国でも同じようにヒットするんじゃないかと思っています。

──制作体制についてもお聞きしたいです。海外でも制作を経験されている武川さんはいかがですか?

金 ショートドラマはショート動画の延長線にあるもので、密度の高い情報をユーザーに与えないといけないものだと思っています。今の日本の作品は、すごくセリフの密度が低かったりテンポや物語の展開が遅かったりと、まだまだ課金とつながっていない。量産の仕組みを作るためにもしっかりマニュアル化して、それが実現できるよう制作パートナーさんともコミュニケーションを取りながら進めていくことが必要だなと思います。

“月間課金ユーザー1000万人”達成のためにやるべきこと

──最後に、“月間課金ユーザー1000万人”をどう目指していこうと考えているか、それぞれ教えてください。

金 私は、ファストフードみたいに、システム化して大量の作品を作り、その中からいい作品を当てていければと思っています。今まで日本で30作品くらい作ってきたのですが、一番困っているのは制作に無駄なコストが多いこと。例えば撮影に使う高級車のレンタルでも、中国だったら1時間ごとに借りられるんですが、日本では少なくとも半日からのところが多い。もっとシステマティックな仕組みにしたり、AI技術を使ったりして、効率よく作れるようにしたいと思います。中国にはそういった知識もたくさんあるので、日本と中国でショートドラマの情報交換や人々の交流が進めばいいなと思っています。